秋山瑞人 afterword(『イリヤの空、UFOの夏 2』(コミック))
情報
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概要
原作者によるコミック版第2巻への書き下ろしコメント。
「おっさんの昔語り」として子ども時代(東西冷戦時代)の世界の雰囲気を軽く話した後、イリヤの背景などを語っている。
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その他
秋山は、彼の子ども時代、「あの頃」の雰囲気――冷戦時代を支配していた戦争や核へのリアルな恐怖感――について一通り述べたあと、『イリヤ』の世界状況は、「あの頃」の雰囲気と同じつもりで書いた、と述べ、こう続けた。
[…]読者の側に共通の認識さえあれば明確な説明などしない方がいいと思って突っ走ったのですが、何のことはない、最初の一行目を書き始めた時点で私はすでにして「おっさん」だったのでした。[…]何だか「あの頃」の亡霊のような、一匹だけ生き残った挙句にどうしていいかわかんなくてビルに上っちゃった恐竜みたいなお話だったのかなあ、という気がしています。
世界状況に関する説明を(浅羽の視点から見えないものは書かないという基本方針があったこともあり)ほとんどしなかったため、その雰囲気が若い読者にはあまり伝わっていなかった、ということだと思われる。読者(=若者)と秋山(=おっさん)との間に共通の認識がなかった、ということ。
最後に、はじめて読んだ「絵のない本」として映画『ウォーゲーム』のノベライズ、イリヤ2話「ラブレター」近辺のエピソードに影響を与えた映画としてジョー・ダンテ監督の『マチネー』について軽く触れている(ちなみに前者は「『あの頃』に兄貴が買ってきた」ものらしい)。
どちらも、冷戦時代を舞台にしており、米ソ軍事衝突を描いている。